子供向け工作講座内容として以下の工作を作ってみました。
講座内容として、磁石とリードスイッチの学習・実験をして、リードスイッチモーターを作成する
内容を作ってみました。
実際に地区センターで小学校高学年以上向けに講座を開きました。
以下が、その工作結果です。
1.磁力線について
磁石には、S極とN極があります。
磁石の状態(磁界)を簡単に目に見えるようにしたものが、磁力線です。
磁力線は、図のようにN極からS極に向かっています。
「実験1」
下敷きの上に砂鉄をばらまいて、下敷きの裏に磁石を当ててみよう。
砂鉄の模様が次の図のようになったかな?
2.磁石の吸引力と反発力
2つの磁石で、同じ極どうしは反発し、異なった極どうしは引き合います。
「実験2」
実際に2つの磁石を使って試してみましょう。
1.ボビンにエナメル線を200回ほど巻き付けてコイルを作る。
エナメル線は、銅線の表面にエナメルを塗って、触れても電気を通さないようにしたものです。
もちろん銅線の芯の部分は電気を通します。
(1)コイルとは?
①例えば1本の電線に電流が流れると、次の図のようにその電線を中心として円を描くように
磁気が発生します。
②ただし、1本の電線に生じる磁界は、さほど気にしません。というのも、電線に流れる電流は小さく、
生じる磁界もまわりに影響を与えないほど小さいからです。
しかし電線を図のような形に何回も巻けば、電線に流れる電流は小さくても大きな磁界が
生じるようになります。これが「コイル」です。
(2)コイルに大きな磁界が生じるようになる理由(少し難しいかな?)
ではなぜ、1本の電線でしかないコイルが大きな磁界を生じるのでしょう。
それを考えるために、電線が隙間なく50回 巻かれた長さが3cm のコイルを想定します。
このコイルに1A が流れているものとし、円筒を縦に切る方向のコイルの断面を思い浮かべて下さい。
まず1巻目の電線には1A が流れています。そして2巻目の電線にも同じ個所、同じ方向に1A の電流が
流れています。
そして3巻目の電線にも1A が流れており、結局、隣り合う50巻すべてに1A が流れています。
これは幅が3cmの平らな電線に50A が流れているとみることもできますね。
よって巻数をN とすると、コイルはN 倍の電流を流す電線と見なせるのです。
たとえて言えば「コイルは電流を増やす器械」といえますね。
(3)できあがったコイルから出ている2本のエナメル線の端子の先をサンドペーパーで磨く。
エナメル線は、銅線の表面にエナメルを塗って触れても電気を通さないようにした線です。
したがってエナメル線を使うときには、サンドペーパーで磨きエナメルをとってやります。
2.「実験3」
コイルに電流を流すと磁石(電磁石)になることを試そう。
コイルの中にボルトを通して、コイルの両端のエナメル線を電池につなぎ、
クリップがボルトにくっつくかどうか試してみよう。
(1)コイルの巻き数を増やせば、磁力が強くなります。したがって、
たくさんのクリップをくっつけることができます。
(2)流れる電流を増やす(電池の数を増やすこと)とさらに磁力が強くなります。
ただし、この時はコイルが熱くなりますので、やめておきましょう。
リードスイッチは下図のように,2本の磁力に良く反応するリードの接点部が間隔を持 って相対し,
ガラス管の中に封入されています.
このリードスイッチにリードの軸方向に磁界を外部から加えるとリードが磁化されて磁石となり、
向かい合った接点が互いに引き合い接触して、2つの端子間は通電し、電流を流すことができます。
また,磁界を消去すればリードのバネにより接点は元に戻り、2つの端子間は遮断されます。
つまり磁石を近づけることによりスイッチの役割をはたします。
1.「実験4」
リードスイッチに磁石を近づけると?
(1)次の図のように電池、リードスイッチ、LED、抵抗を接続して、リードスイッチに磁石を
近づけるとLEDが点灯します。磁石をリードスイッチから遠ざけるとLEDは消灯します。
2.磁石とリードスイッチの動作
磁石の位置とリードスイッチの動作は以下の図の通りとなります。
(群馬大学・おもしろ科学実験室の説明図を参考にさせていただきました)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
前述の学習・実験をもとに、次のリードスイッチモーターを作成しました。
1.完成写真です。
2.タクトスイッチを押して、円盤が回転している写真です。
次の図がリードスイッチモーターの配線図です。
1.コイルの両端に接続してあるLEDは、リードスイッチが切れたとき、
コイルに逆誘導起電力が生じて点灯します。円盤が回転しているときには、
ずっと点灯しているように見えます。
2.タクトスイッチの接続端子を間違えないように事前に確認してください。
1.回転円盤の作成
(1)厚紙で円盤を作り円盤の中心のまわりにボンドをつけて、円盤の中心の穴に画びょうを さして、円盤と画びょうを接着します。
(2)図のように4つの磁石を貼り付けるために、うすい両面テープを1cm四方の正方形に切って、 円盤の端と十字の直径上にくるように貼り付けます。
(3)磁石は、N極とS極が図のようになっています。棒磁石を使って確認してください。
(4)4つの磁石は、すべてN極を上にして、図のように貼り付けてください。(青い線の上)
2.台板の作成
(1)厚さ13mm、120mm四方の板を、次のように加工します。
①ネジ穴(1.4Φで深さ5mm)2か所をあける。
②円盤の軸受け穴(1.6Φ、深さは板を貫通)1か所をあける。
③タクトスイッチ固定用の穴(1.4Φで深さ5mm)4か所をあける。
④コイルの位置用の十字線を引く。
⑤LEDの位置用の線を引く。
⑥電池の位置用の四角を描く。
(2)台板の裏側に、四角い塩ビ板をボンドで貼り付けます。
①一番大きい塩ビ板を円盤の軸受け用の穴の上に貼ります。
※台板に一番大きい塩ビを穴の上に貼るとき穴にボンドが入らないようにしてください。
②残りの小さい塩ビ板を台板の四隅に貼り付けます。
3.台板へ部品の取り付け
(1)下図が部品の配線図です。
(2)2か所の穴にネジくぎ1とネジくぎ2を入れます。
配線の繋ぎに使用します。
(3)電池ボックスのプラス側のリード線(赤)をタクトスイッチの1か所の足の上部に
半田付けしておきます。
(講習前に半田付け済み)
(4)リードスイッチの両端に5cmくらいのエナメル線を半田付けしておきます。
(講習前に半田付け済み)
(5)電池ボックスの裏に4cmの両面テープを貼り付けます。
(6)台板に、長方形が描かれているところに電池ボックスの+とーの位置に注意して、
貼り付けます。
(7)コイルの内側から出ている線をLEDのプラス側に巻き付け、さらにタクトスイッチに
巻き付けます。
(8)ボビンコイルに両面テープを貼り付け、4つの磁石が付いた円盤の画びょうの針先を
台板の軸穴に入れ、円盤の1つの磁石の中心とコイルの中心が合うようにして、台板に
描いた十字の中心近くにコイルを固定します。
(9)タクトスイッチの端子を穴にはめ込みます。
(10)コイルの外側の穴から出ている線をLEDのマイナス側に巻き付け、さらにネジくぎ2に
巻き付けます。
(11)配線済みのLEDを光る方を上にして、端子をそれぞれセロテープで仮止めします。
(12)リードスイッチ端子の片方のエナメル線をネジくぎ2に巻き付けます。
(13)もう一方のリードスイッチ端子のエナメル線をネジくぎ1に巻き付けます。その際、
リードスイッチを動かせるようにエナメル線に余裕を持たせてください。
その後、リードスイッチをセロテープで仮止めしてください。
(14)電池ボックスのマイナス側のリード線(黒)をネジくぎ1に巻き付けます。
以上で配線は終了です。
1.図のように、円盤の黒い十字線がコイルの中央に来るようにして、
A4の磁石の所にリードスイッチを持っていき、セロテープで仮止めし、位置を調整します。
2.タクトスイッチを押して、円盤がスムーズに回るようにリードスイッチの
位置を調整してください。
3.円盤が回転するようになったら、グルーガンでネジの所、コイル、タクトスイッチ、リードスイッチを 固定します。これで完成です。
タクトスイッチは押したままです
1.磁石A1がコイルの近くに来た時、リードスイッチは磁石A4により作動して接点が閉じます。
するとコイルに電流が流れて電磁石となり磁石A1を引きよせます。
2.回転盤の赤線付近がリードスイッチに来ると、磁石の影響を受けないのでリードスイッチの
接点は開きます。するとコイルは、電流が流れないので電磁石になりません。
磁石A1は、電磁石の影響を受けないので、惰性で回ります。
3.回転盤の黒線付近がリードスイッチに来ると、リードスイッチは磁石A3により作動して
接点が閉じます。するとコイルに電流が流れて電磁石となり、惰性で近づいてきた磁石A4を
引き寄せます。
4.上記、1⇒2⇒3を繰り返し、円盤が回転していきます。